森田療法とは?簡単なやり方・考え方【3選】
この記事でわかること
- 森田療法とは何か?森田療法の概要
- 森田療法を一人で活かすにはどうすれば良いのか?
- 脇見恐怖症など社交不安障害の方の、不安との向き合い方
こんにちは、WaReKaRaゼミ代表「対人不安解消の専門家」ザッキーです
「森田療法」という精神療法をご存知ですか?
脇見恐怖症、視線恐怖症などの対人恐怖症(社交不安障害)の方に適応する治療法です。
基本的に病院で受診するものにはなるのですが、「森田療法」自体の考え方や治療のスタンスなどを自分自身で活かすこともできます。
森田療法に興味があったという人も聞いたことがなかったという人も、ぜひ日常に森田療法を取り入れてみてください。
↑脇見恐怖症、視線恐怖症に関してはこちらの過去記事をご覧ください。
〜目次〜
森田療法の概要
森田療法とは、1919年頃(大正時代)森田正馬(まさたけ)先生が創始した精神療法のことです。
不安やストレスを分析して異物として取り除こうとする西洋的な療法に対して、
森田療法は
「内部から発する心配、緊張を“あるがまま”の感情として受け入れること。不安と共存すること」
が基本的な考え方としてあります。
ちなみに心の病の治療方法として大きく分けると「薬物療法」と「精神療法」があります。
薬物療法で使う薬品の種類には「抗うつ薬、抗不安薬・気分安定薬」などがあります。
精神療法は対話を通じて感情、行動を変化させていく治療法で、 今回ご紹介する「森田療法」や「認知行動療法」などがあります。
森田療法が適応する方
「とらわれ」の機制 と呼ばれる心理機制が働いて、大変な苦痛や息苦しさを伴ったり、 日常生活に支障が出ている人には森田療法が適応します。
「とらわれ」の機制とは「精神交互作用」と「思想の矛盾」に分けられます。
それぞれ簡単にご説明します。どういったものかを理解して、ご自身に当てはまるか考えてみてください。
精神交互作用とは?
「精神交互作用」とは注意と感覚が悪循環的に作用して症状が発展する仕組みです。
「不快・不安な感情(恐怖・緊張・胸のドキドキなど)」と
「注意(不快・不安な感情を排除したい、という思いや、 不快・不安な感情に対する意識)」
が連鎖して悪循環になることで、 感覚はより一層鋭くなり、 その感覚が固着されるという性質、精神過程です。
「人前で顔がこわばる自分」に不安・緊張感を抱き、 ↓
表情に注意が集中するとより感覚が敏感になり、 ↓
さらに不安がつのって一層顔がこわばる
というように, 注意と感覚が相互に作用して症状がより強まるというような機制です。
思想の矛盾とは?
思想の矛盾とは
「〜すべき。〜でなければならない」 という理想や願望によって、 自然に生まれてくる感情を理性で解決しようとする
ことです。
ネガティブな感情を「(理想とは異なる)あってはならないもの」として無理やり解決しようとして、より一層思うようにならない自分(理想の自分と現実の自分とのギャップ)に葛藤が生まれます。
例えば「人前ではハキハキと話せなければならない」という「〜すべき」という理想の自分を持つことで、緊張してしまう現実の自分を「ふがいない」と感じ、緊張しないようにと身構える結果、かえってそれにとらわれてしまう
といったものです。
社交不安障害の方はこの「こうあるべき」と言う理想が強く、完璧主義的であることが多いです。
この「とらわれ」の機制があるかたで
・パニック障害
・広場恐怖症
・全般性不安障害
・社交不安障害
・強迫性障害
・身体化障害
・病気不安症
・慢性化したうつ病
のかたなどには森田療法が適応します。
また、森田療法を受けるには入院治療と外来療法の2種類があります。
森田療法の入院期間の平均は2〜3ヶ月程度です。入院森田療法が合っている方は
なかなか森田療法を実践できない方や実践できないことによって日常生活や社会生活に支障が出ている方です。
外来療法では1〜2週間に1度の通院をします。
外来の森田療法が合っている方は
・自ら悩んで考える力がある方
・森田療法の論理を理解できる方(なのであまりにも若い方だと難しいかもしれません)
などです。
入院にしても外来にしても、森田療法を実施している病院を調べてご自身で相談されることをお勧めします。
森田療法を行っている医療機関は多くはないので、受診を検討されている方は、 医療機関のサイトを確認したり、電話で問い合わせてみたりしてください。
↓以下のページで森田療法を実施している全国の医療機関の一覧が掲載されています(外部サイト)
森田療法の考え方を活かすには?
ここまで森田療法の概要や根底の考え方についてお伝えしてきました。
森田療法は入院や外来で精神療法として活用されるとお伝えしましたが、森田療法の考え方を自分で活かすにはどうすればよいでしょうか?
以下、日常での活かし方に関して3つお伝えしていきます。
① 「あるがまま」に受容する
不安、恐怖、孤独、怒りなどを人間が克服・排除すべき感情 として切り捨てるのではなく、これらは「人間として当たり前の感情」であると認め、「あるがまま」として受け入れるという考え方です。
不安な感情も環境も自分の思い通りにはならないものです。
ありのままの事実として、「そのまま」受けとめることが大事です。
あるがまま受け入れることによって、 先程お伝えした「精神交互作用」が生み出す「とらわれ」を打破して、 生の欲望(よりよく生きたい欲望)を建設的な方向へと向かわせることができます。
「思想の矛盾」のところでお伝えしたように、「こうあるべき」という理想と「実際こうである」という現実とのギャップに思い悩むと、不安ばかりに注意が向き、より一層とらわれてしまいます。
そこで、こだわりすぎずに「あるがまま」、「実際こうである」 自分を受け入れ、目の前のことに集中することで症状を改善していくということが大事です。
この「こうあるべき」という完璧主義な自分への対応としては、「こだわりすぎず、60点主義で生活する」ということも大事になってきます。
「100点じゃなかったら0点。白か黒」と考えるのではなく、「60点で良し」とすることです。
「うまくいったorうまくいかなかった」だけではなく、その2つの間には「少しうまくいった」「この部分がうまくいかなかった」などのグラデーションが確実にあります。極端に捉えるのではなく、グレーな状態の自分にも気づいて、認めてあげてください。
現実の自分に対して「〜すべきなのに」と評価するのではなく、ただあるがままに受け入れましょう。
② まず行動する
不安は自分の心が作り出すものです。
そして不安について考えだすと、 不安はどんどん大きくなっていきます。
そして大きくなった不安をさらに考え続ければ、不安は恐怖へと変わり、さらに行動が出来なくなってしまいます。
さまざまな心配事を確認したり、未来への不安を打ち消そうとすると、心配や不安はますます増大します。
そこで、恐怖に打ち勝つためには「まず何も考えないで行動する」ことも大事になってきます。
例えば、授業で手を挙げるのが怖いとき、「笑われたらどうしよう」「バカにされるかも」 などどんどん不安が出てきてより手が挙げられなくなってしまいます。
そこで、「まず手を挙げてみる」。
「不安な気落ちを持ったまま手を挙げる」「緊張を受け入れつつ、人前で話す」 行動によって恐怖に突進していく。
確かに不安はありますが、極端な話、死ぬようなことは起こらないですよね。
「最悪な結果にはならない」 と不安や心配をしつつも、建設的な行動を取っていくことが重要です。
また森田先生は「感情の法則」として感情の特性について言及しています。
「感情はそのまま放任すれば山形の曲線をなしひとりのぼり、ひと降りしてついには消失する」と述べています。
気分や感情はピークが来ても時間が経てばクールダウンしていくのです。
精神交互作用でお伝えしたように不安にとらわれるほど不安は増幅しますが、放任していれば消失するのです。
何かに夢中になったり心を奪われたりしているときには「不快な感情、気分、症状を忘れていた」という経験は誰にでもあるのではないでしょうか?
またこの感情の法則から言えることは「感情は自分でどうにかコントロールできるものではなく、自然な反応、法則として起こるものであって、排除したり支配できるものではない」ということでもあります。
これは症状に対しても同様です。 森田療法では、行動は自分の意思でコントロールできるのに対し、感情はコントロール出来ないものとして扱います。
この行動とは、症状克服のための行動である必要はなく、生活上のどんな些細なものでも構いません。
不安を感じながらでも「とりあえずやってみよう」という感じで「まず行動する」ということを大事にしてみてください。
また小さな問題から取り掛かることが大事です。
いきなり大きな課題に取り掛かろうとしても何も動けなくなってしまいます。
まずは「目の前にある小さな障害」や「自分のできる範囲のこと」から取り掛かることが大切です。
気分に流されず、自分のやりたいこと、やるべきことに向かって動くことは、最初に踏み出す時は勇気と努力が必要ですが、やってみると一歩進めた感覚が得られると思います。
③ 不安と欲求は表裏一体だときづく。不安も自分を生かす素材
不安症の方は「”人から嫌われるかもしれない”という不安な感情やその原因をすべて解決してから人付き合いをしたい」 と考えて、まず不安を取り除こうとします。
その結果、そもそもの他人との接触を回避するようになってしまいます。
しかし、不安を排除しようとして、逆に不安にとらわれてしまうことで日常生活がうまくいかなくなってしまいます。
不安の裏側にある欲求(生の欲望)に気づくことが大事です。
生の欲望とは森田療法の基本的な考え方の一つで、本来的に健康な人なら誰でも普通に持っている、「より良く生きたい・人に認められたい・偉くなりたい」等の向上意欲です。これらの欲望はいわば、プラスの精神エネルギーです。
森田療法での不安に対する捉え方の特徴でもありますが、不安は「より良く生きたい」という欲求(生の欲望)の裏返しと捉えられます。
つまり「こうありたい」という願望があることでそれが手に入らない・ダメになってしまうという不安も生まれてきます。
ですので、不安自体は人間にとって避けられない自然な感情なのです。
逆にいうと「強い不安にとらわれる人には、それだけ強い生の欲望がある」ということでもあります。
・人前で話すことに極度に緊張してしまう → それだけ他人からよく思われたい気持ちが強いんだな
・人とうまく話せない、うまく関われない → それだけ人とうまく関わりたいんだな
というように、不安の裏側にはよりよく生きたいという欲求があるのです。
「健康でありたい」と思うからこそ「病気になったらどうしよう」と不安になるというように、 強い欲望があるからこそその不安や恐怖も大きくなるのです。
つまり、人の心は、生の欲望と死の恐怖(=不安や恐怖心)が表裏一体のものであるという事です。
ですので、生の欲望も死の恐怖のどちらも、人本来の欲求としてありのままに受け入れることが自然なあり方だと森田療法ではとらえます。
おわりに
森田療法の概要と日常で活かす考え方を3つお伝えしました。
色々と専門用語もあってなかなか頭に入ってこなかったかもしれないので、まずは
「不安な感情はそのままで、少し行動する」
と覚えて、活かしてみてください。
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