視線恐怖症の種類をカウンセラーが解説|カウンセリングは有効?
どうも、こんにちは。WaReKaRaゼミ代表でカウンセラーのザッキーです
周囲の視線が気になってしまい、人との交流や人前での自分の態度に強い不安や緊張を感じていませんか?
他人や自分の視線が気になり、日常生活を普通に過ごすことが難しいと感じてしまう「視線恐怖症」をご存じでしょうか。
今回は、対人恐怖症(社交不安障害)の一つである「視線恐怖症」について、その病気の種類と症状、治療方法を解説します。
人と接することが苦手な人も、そうでない人も、視線恐怖症という病気について理解してもらえればと思います。
〜目次〜
視線恐怖症は対人恐怖症の一種です
対人恐怖症(社交不安障害)とは、自分が他人にどう思われているかについて不安になり、人との交流を避けて外出できなくなるなど、日常生活に支障が出てしまう心の病気です。
その対人恐怖症の中でも、周りの人の視線や自分自身の視線に関して、強い不安や恐怖を感じてしまうのが「視線恐怖症」です。
対人恐怖症の中には視線恐怖症以外に、赤面恐怖症や醜形恐怖症、書痙(しょけい)など様々なものがあり、他人との交流の中で症状が発現するという点で共通しています。
対人恐怖症の方は日本人の中におよそ10人に1〜2人いると言われており、決して遠い世界の話ではない身近な話です。
視線恐怖症の原因は明確には解明されていませんが、遺伝的要因、社会的経験(例:過去の否定的な対人での経験)、育成環境、個人の性格特性(例:内向性、神経質)などが関与していると考えられています。
視線恐怖症の種類
視線恐怖症には他者視線恐怖症と自己視線恐怖症、正視恐怖症があります。どちらも対人恐怖症の一つである「視線恐怖症」なのですが、不安や恐怖を感じる場面が違います。その違いについて、説明します。
他者視線恐怖症
他者視線恐怖症は、他人の視線に対する過度な恐怖や不安を感じる心理的な状態です。
周りの人みんなが自分に注目しているように思いこんでしまったり、自分の言動が他人から気にされていると思い込み、そのことに不安や恐怖を感じて人前に出ることが苦痛になってしまいます。
人が自分を見ている、または評価しているという感覚に対して強い不安を抱くことが特徴です。その結果、人前でのパフォーマンスが悪化したり、人との交流を避けたりすることがあります。
他人の目を気にしすぎることでどういった問題が発生してしまうのか?ということやその改善方法などを記事にまとめています。詳しくはこちらをご覧ください。
自己視線恐怖症
自己視線恐怖症は、自分の視線が周りの人を不快にさせてしまっているんじゃないかと不安を感じる病気です。
自分の視界の中に他人が入ることで他人に迷惑をかけてしまっていると思い込んで罪悪感を感じてしまい、常に下を向いて過ごしたり視界に人が入ることを極端に恐れたりします。
自己視線恐怖症は脇見恐怖症とも呼びます。自分の視界に入って「脇見」してしまった相手に対して罪悪感や不安感を覚えます。
詳しくは下の記事で書いているのでぜひご覧ください。
正視恐怖症
人と目を合わせることができない恐怖症です。
目を合わせないことが失礼だと思って合わせようとするんですが、ぎこちない感じになって視線をどこに向ければいいかとわからなくなってしまいます。
またその視線が威圧感があるのではいのか、相手は不快な思いをするのではないかと考えて不安になります。
また正視恐怖症はなかでも2種類あって
1つは目を見ることができないケースです。自分から人と目を合わせることができず、相手の目を見て話をすることができない場合があります。
2つめは目を見られることが怖いと感じてしまうケースです。他人に目を見られることが不安になってしまいます。話をしている最中に相手の視線を感じると、不安や緊張を感じ、相手の目を見ることができなくなってしまう感じです。見ること見られること両方苦手というかたも多いです。
視線恐怖症の症状
これらの視線恐怖症で悩む人たちは、自分や他人の視線が気になってしまい、そのことに強い不安を感じます。
極度の緊張や不安のため、発汗や震え、赤面などの身体の症状が出たり、気分の落ち込みや不眠、鬱にも繋がってしまうなど、心や体に対して悪い症状が出てしまいます。
緊張や不安を感じずに過ごすために人を避けたり他人に注目される状況を避けるようになってしまいます。学校や職場に行けない、家から出られなくなって引きこもってしまうというような状態になると、日常生活に支障をきたすようになってしまいます。
これらの症状は、自己意識が高く、自己評価が低いことが多い人々に特に顕著に見られます。
視線恐怖症で悩むリアルな人の声
視線恐怖症に悩む人たちの中には、その症状のために普通の生活が送れずにつらい思いを抱えている人が大勢います。
- 「人と目を合わせるのが怖くて、いつも視線を落としてしまいます。自分が変だと思われているかもしれないと不安になります。」
- 「会議やプレゼンテーションの時、みんなの視線が自分に向けられていると感じると、緊張で手が震えてしまいます。」
- 「人と話しているとき、相手の目を見ることができず、話に集中できません。自分のコミュニケーション能力に自信が持てません。」
- 「電車やバスで他人の視線を感じると、どこか見られているのではないかと不安になって、早く降りたくなります。」
- 「人との距離感が掴めず、視線を合わせるタイミングがわからない。いつも適切なコミュニケーションが取れているのか心配です。」
これらは僕がカウンセリングや運営しているコミュニティのメンバーからよく相談される内容の一例です。
このような悩みはなんとなく共感できるところもあるのではないでしょうか。視線恐怖症の症状で悩んでいる人は大勢います。
しかし身近な家族や友人には知られたくないと思い、誰にも相談できずに一人で抱えてこんでいる人も多いです。
視線恐怖症の治療方法
視線恐怖症は病院で診断を受け治す、ことのできる病気です。
具体的な治療方法についてご紹介します。
治療は薬物療法と精神療法を組み合わせて行われることが多いです。
薬物療法
視線恐怖症の薬物療法は、精神科や心療内科の病院を受診し、専門医の診察を受けた上で開始されます。
視線恐怖症の治療では、抗うつ薬や抗不安薬が使用されることが多いです。
はじめは少量から始めて、症状や経過を見ながら調整していきます。
飲み始めて効果を感じるまで数週間かかる場合もありますが、急に飲むのをやめてしまうと反動で副作用が出てしまう場合があるので注意しましょう。
薬物治療だけに頼ると、症状が落ち着いてきたと思って服用をやめたら病気が再発して症状が出てくるという場合もありますのでご注意ください。
精神療法(カウンセリングなど)
精神療法とは対話や訓練を通して、行動や考え方、感情を変化させることで治療を行います。
支持的精神療法(≒カウンセリング)や認知行動療法、集団精神療法などがあります。
認知行動療法に関して、詳しくは下の記事をご覧ください。
不安障害の克服に大きな実績を持つ「森田療法」も、精神療法の一つです。
森田療法は、対話を通じて感情や行動を変化させていく治療法で、外来での通院や入院しての治療で行われます。
あるがままのこころの姿勢を獲得できるよう援助し、よりよく生きたいという欲望を、建設的な行動として発揮していくよう促します。
森田療法に関して、詳しくは下の記事をご覧ください。
これらの精神療法は視線恐怖症で悩む人の視線に対する誤った解釈や過剰な意識を再構築し、より現実的で合理的な考え方を身につけることを支援します。
この過程で、クライアントは自分の感情を理解し、感情を適切に管理する方法を学びます。また、カウンセリングでは、クライアントに対して徐々に回避行動(コミュニケーションを避ける行動など)を減らし、対処能力を高めるための支援が行われます。
またコミュニケーションに対する苦手意識が強い場合も多いため、カウンセラーとの対話を通して効果的なコミュニケーションスキルや対人スキルの向上が期待できます。これらの要素が組み合わさることで、視線恐怖症に対するカウンセリングは、クライアントが自分自身と他者との関係を改善し、日常生活における不安や恐怖を軽減するのに役立ちます。
僕もカウンセラーとしてカウンセリングを行なっていますので、選択肢の一つとして興味のある方はぜひこちらからお問い合わせください。
おわりに
今回は、対人恐怖症(社交不安障害)の一つである視線恐怖症について、その病気の種類と症状、治療方法を解説しました。
視線恐怖症には「他者視線恐怖症」と「自己視線恐怖症」、「正視恐怖症」の3種類があり、視線に関連した不安が強い病気です。
発汗や震え、顔の赤面など身体の症状だけでなく、気分の落ち込みや不眠、引きこもりなど、心と体の両面に症状が出る人が多いです。
治療には薬物療法と精神療法があり、どちらも併用することで大きな効果が期待できます。
視線恐怖症は治療のできる病気です。周りの人や自分の視線が気になってつらいと感じている人は、一人で思い詰めずに改善を目指して、まずは少しでも行動を起こしてみてください。
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