【あがり症】治る人と治らない人の違い5選|専門家が解説

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この記事でわかること

  • あがり症が治る人と治らない人を分けている5つの違い
  • 緊張を抑え込もうとするほど、症状が強く感じられてしまう理由
  • 今日から1つだけ選んで変えられる、具体的な一歩
ザッキー

こんにちは、WaReKaRaゼミ代表「対人不安解消の専門家」ザッキーです

人前で話すたびに心臓がバクバクして、声が震えてしまう。朝礼で自分の番が近づいてくるだけで、手のひらに汗がにじむ。そんな状態が何年も続いていると、ふとこう思うことがあると思うんです。

「同じように悩んでいた人が、最近ラクになったって言ってた。なんで自分だけ、いつまで経っても慣れないんだろう…」

この記事では、あがり症が治りやすい人となかなか治らない人の違いを5つお伝えしていきます。自分がどちら側に当てはまりやすいかがわかると、まず何から変えればいいのかが具体的に見えてきます。

僕自身、人前で話すときに手が震えたり声が震えたりして、恥ずかしい思いをしてきた経験があります。今は対人不安やあがり症で悩む方に向けたコミュニティを運営していて、カウンセリングやゼミの活動を通してたくさんの方と関わってきました。

これからお伝えする5つは、かつての僕が全部はまっていたものでもあります。

あがり症が治る人と治らない人は、何が違うのか

あがり症が治る人と治らない人は、何が違うのか

最初にひとつ、はっきりさせておきたいことがあります。

あがり症が少しずつラクになっていく人と、何年も同じ場所で苦しみ続ける人。この2つを分けているのは、生まれつきの性格の強さでも、度胸があるかどうかでもないんです。

これまで200人以上の方の相談を受けてきて、ゼミでも対人不安に悩む方と日常的に関わってきました。その中でずっと見ていて気づいたのは、変わっていく人には共通した考え方の向きがあるということでした。

そしてその向きは、あとから変えられるものばかりなんです。持って生まれたものではなく、緊張との付き合い方をどう設計しているかの違い。だからこそ、今日1つでも方向を変えられたら、そこから先は違う道になっていきます。

ただ、これから読み進めていくと「あ、自分は治らない側の特徴に当てはまってるな」と感じる場面があるかもしれません。それでも大丈夫です。当てはまるということは、変えられる場所がはっきりしたということですから。

違い① 緊張を敵とみなすか、体の準備反応と受け取るか

違い① 緊張を敵とみなすか、体の準備反応と受け取るか

1つ目の違いは、緊張そのものをどう捉えているかです。

なかなか治らない人は、緊張を敵として扱っています。会議で発言の順番が近づいてくる。朝礼のスピーチが自分の番になる。そういう場面でドキドキし始めた瞬間に「あ、やばい、始まった」「早く止めなきゃ」と、緊張を抑え込みにかかるんですね。

緊張を止めようとするほど、大きく感じてしまう理由

ここに落とし穴があります。

緊張を止めようとすればするほど、意識は自分の心臓の音や手の震えに集中していきます。すると、その感覚がどんどん大きく感じられるようになって、余計に焦ってしまうんです。

これは意志が弱いからではありません。注意を向けたものは強く感じられるという、人間の知覚の仕組みです。たとえば足の裏の感覚なんて普段は意識していませんが、今こうして文字にした瞬間に、なんとなく足の裏を感じませんでしたか。それと同じことが、心臓や喉に起きているだけなんですね。

落ち着こうとするより、ワクワクしてきたと言い換えるほうが効く

一方で治っていく人は、緊張を体の準備反応として受け取っています。

心臓がドキドキするのは、体が「これから大事な場面だぞ」とエネルギーを送っている状態です。実は、緊張しているときとワクワクしているときは、心拍が上がって呼吸が速くなるという体の反応の面ではよく似ているんです。

この点については、興味深い研究があります。ハーバード・ビジネス・スクールのAlison Wood Brooks氏が2014年に発表した研究で、本番前の不安を落ち着かせようとするより、ワクワクしてきたと言い換えたほうがスピーチやカラオケ、数学のテストの成績が良くなったという結果が報告されています(Brooks, 2014, Journal of Experimental Psychology: General)。

体に起きていることは変えられなくても、その受け取り方は選べるということなんですね。

もし今度ドキドキしてきたら、心の中で「体が準備を始めたんだな」と言い換えてみてください。これだけでも、緊張と戦わずに済む場面が増えていきます。

参考文献:Brooks, A. W. (2014). Get Excited: Reappraising Pre-Performance Anxiety as Excitement. Journal of Experimental Psychology: General, 143(3), 1144-1158.

違い② ゴールを緊張ゼロに置くか、伝わればOKに置くか

違い② ゴールを緊張ゼロに置くか、伝わればOKに置くか

2つ目の違いは、目指しているゴールです。

治らない人のゴールは、緊張ゼロで堂々と話せる自分になっています。一見すると、いい目標に見えますよね。でもこのゴール設定だと、少しでも緊張したらその日は失敗にカウントされてしまうんです。

ハードルが高すぎるので、毎回「今日もダメだった」で終わってしまう。成功体験がまったく溜まっていきません。しかも人前で完全に緊張しない人なんて、実際にはほとんどいないわけですから、達成できない基準を自分に課し続けていることになります。

一方で治っていく人のゴールは、緊張したままでも、伝えたいことが伝わればOKなんです。

声が震えてもいい。顔が赤くなってもいい。途中で言葉に詰まってもいい。それでも言いたいことが相手に届けられたなら、その日は合格。そういう感じです。

ゼミのメンバーやカウンセリングで関わってきた方を見ていても、良くなっていく人はこの合格ラインが現実的なんですね。100点ではなく、60点で合格

この基準に変えるだけで、同じ1日が失敗の日から、できた日に変わります。そしてできた日が増えていくと、あがり症が少しずつ気にならなくなっていくんです。

ここまで2つの違いをお伝えしてきましたが、自分は治らない側かもしれないなと思った方も心配いりません。意識して少しずつ変えていけば、これからちゃんと変わっていきます。

違い③ 意識が自分の症状に向くか、相手と伝えることに向くか

違い③ 意識が自分の症状に向くか、相手と伝えることに向くか

3つ目の違いは、話している最中に意識がどこを向いているかです。

自分を監視するほど、症状は強く感じられる

治らない人は、話しながらずっと自分に意識が向いています。手が震えていないかな。声が上ずっていないかな。顔が赤くなっていないかな。そんなふうに、自分の体の変化や症状ばかりをチェックしていて、それに意識の大半を使っているんです。

心理学ではこれを「自己注目」と呼びます。自分の内側をモニターし続けている状態のことですね。

しかもこのとき、1つ目でお伝えした「緊張を敵と捉えて抑えなきゃ」という考えも同時に起きていることが多いです。監視すればするほど、震えやドキドキは大きく感じられてしまいます。

聞いている人の顔を1人ずつ見る、から始める

一方で治っていく人は、意識が相手と伝えることに向いています。聞いている人はどんな表情かな。この説明、伝わっているかな。意識の向き先が、自分の内側ではなく外側にあるんですね。

これを聞いて「いや、そんな簡単に切り替えられないよ」と思うかもしれません。確かに、注意は放っておくと自動的に不安のほうへ引っ張られてしまいます。

ただ、注意の向け先は、自分で選び直す練習ができるんです。心理学では「注意訓練」と呼ばれていて、これは認知行動療法の中でも使われる考え方です。筋トレで筋肉を育てるのと同じように、意識のコントロールも育てられる力だと考えられています。

難しく考える必要はありません。まずは話しているときに、聞いている人の顔を1人ずつ見る。これだけで十分です。それだけで、意識が自分の体から相手のほうへ移っていきます。

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違い④ 緊張を隠すか、少しずつ手放すか

違い④ 緊張を隠すか、少しずつ手放すか

4つ目の違いは、緊張していることやその症状を隠すかどうかです。

治らない人は、症状を隠すことに全力を注いでいます。震える手をポケットに入れる。原稿を持つ手にギュッと力を入れて固定する。声が震えないようにお腹に力を入れて絞り出す。そんなふうに、隠すための行動をものすごく頑張っているんですね。

こうした行動は、心理学では「安全行動」と呼ばれています。不安な場面で自分を守るためにとる行動のことです。その場では効いている気がするのに、長い目で見ると症状を維持させてしまうという、やっかいな性質があります。

というのも、隠そうとすればするほど「バレたらどうしよう」という新しい不安がどんどん上乗せされていくからです。もともとは震えが不安だったのに、いつのまにか震えがバレることが不安になっている。不安の数が増えているんですね。

しかも隠すことにエネルギーを使いすぎて、肝心の話す内容に集中できなくなってしまいます。

一方で治っていく人は、隠すことを少しずつ手放しています。中には「すみません、ちょっと緊張します」と、先に自分の緊張を伝えてしまう人もいます。

「いや、そんなこと言ったら変に思われそう」と感じるかもしれません。でも実際は、むしろ逆のことが多いんです。緊張しますと言われると、聞いている側は応援したくなるんですよね。人は、素直に弱さを見せてくれた相手に対して、警戒より親近感を持ちやすいものです。

そして何より、先に言ってしまうと、隠すために使っていたエネルギーを全部、伝えることに回せるようになります。

いきなり宣言するのが難しければ、隠すための行動を1つだけやめてみるところからでも大丈夫です。今日はポケットに手を入れるのをやめてみる。それくらいの小ささで構いません。

違い⑤ 自信を待つか、小さな行動を先にやるか

違い⑤ 自信を待つか、小さな行動を先にやるか

5つ目の違いは、自信と行動の順番です。

治らない人は、自信がついたら人前で話せるようになると考えています。もう少し落ち着いて話せるようになったら会議で発言しよう。あがり症が治ったら飲み会にも顔を出そう。そんなふうに、自信がつく日をずっと待っているような状態です。

でも残念ながら、その日は待っていても来ないんです。当たり前といえば当たり前で、何もしないまま自信だけが育つということはないからです。

一方で治っていく人は、順番が逆なんですね。とりあえず先に、小さく行動する。会議で一言だけ発言してみる。朝礼でいつもより少し多く話してみる。店員さんに自分から一言声をかけてみる。そんなふうに小さなできたという事実を積み重ねて、そのあとから自信がついていくんです。

ここで大事なのは、自信をつけるために大きな舞台に挑戦する必要はないということです。むしろいきなり大きなことをやると、うまくいかなかったときのダメージが大きくなりすぎて逆効果になってしまいます。

自信が先ではなく、小さな行動が先。この順番を知っているかどうかで、数ヶ月後、数年後に大きな差になっていきます。

治り始めた人が、最初にやめたこと

治り始めた人が、最初にやめたこと

ここまで5つの違いをお伝えしてきましたが、相談やゼミの現場で見ていて、もう1つ気づいていることがあります。

変わり始めた人は、何か新しいことを始めたから変わったわけではないんです。多くの場合、緊張を消そうとする努力をやめたところから動き出しています

これは僕自身の経験とも重なります。僕は中学生の頃から20代前半までの約10年間、脇見恐怖症という対人恐怖に悩んでいました。家族にも友人にも相談できず、病院に行っても相手にされませんでした。本を読み、セミナーに通い、自己分析をして、200万円以上を自己投資に使いました。

でも、当時の僕がやっていたのは、ずっと症状を消す方法探しだったんですよね。どうすれば視線が気にならなくなるか。どうすれば普通になれるか。そればかり考えていました。

変化が起きたのは、25歳で心理学とコーチングを学び始めて、症状を消すことより、症状があるまま何をしたいのかに目が向いてからでした。それから1年ほどで、ほとんど気にならなくなっていったんです。

相談に来られる方を見ていても、同じ形の変化が起きることが多いです。緊張を消す作業から手を引いて、緊張したまま何をするかに関心が移った人ほど、そのあとの動きが早いんですね。

これは、あがり症でも脇見恐怖症でも視線恐怖症でも、共通して見られる流れだと感じています。

5つ全部を変えなくていい。今日から1つだけ選ぶ

5つ全部を変えなくていい。今日から1つだけ選ぶ

ここまで5つの違いをお伝えしてきましたが、全部を一気にやろうとしなくて大丈夫です。というより、一気にやらないほうがうまくいきます。

同時に5つ変えようとすると、どれも中途半端になって、結局できなかったという記憶だけが残ってしまうからです。それでは違い②でお伝えした、失敗にカウントする癖を強化することになってしまいます。

選び方の目安をお伝えしますね。

  • 読んでいて一番ドキッとしたものではなく、一番ラクにできそうなものを選ぶ
  • 明日にでも試せる場面が思い浮かぶものを選ぶ
  • できたかどうかを、相手の反応ではなく自分の行動で判定できるものを選ぶ

たとえば、聞いている人の顔を1人ずつ見る。これは自分の行動だけで完結するので判定しやすいです。逆に相手に伝わったかどうかを基準にすると、相手次第になってしまうのであいまいになります。

そして、改善は急に悩みがゼロになる形ではやってきません。多くの場合、そういえば最近、前ほど気にしていなかったなと、あとから気づく形でやってきます。だから焦らなくて大丈夫です。

まとめ。あがり症は、緊張したまま進める方向へ変えていける

今日は、あがり症が治る人と治らない人の違いを5つお伝えしました。

  1. 緊張を敵にせず、体の準備反応として受け取る
  2. ゴールを緊張ゼロではなく、伝わればOKに置く
  3. 意識を自分の監視ではなく、相手のほうに向ける
  4. 症状を隠すことを、少しずつ手放していく
  5. 自信を待つのではなく、小さな行動を先にやる

こうして並べてみると見えてくるのですが、治っていく人は緊張を消そうと頑張るのをやめて、緊張したまま進む方向に切り替えているんですね。

これは生まれつきの能力とか、心の強さの話ではありません。考え方と行動の向きの話です。だからこそ、今日からでも変えていけます。

全部を一気にやる必要はないので、読んでみてこれならできそうだなと思ったものを、1つだけ選んでみてください。

ここまで読んでくださったということは、それだけ本気で変わりたいと思っているということだと思います。その気持ちがある時点で、方向はもう間違っていません。

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