【対人恐怖】人に会うほどしんどい理由|自己注目を外す3つの練習法

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この記事でわかること

  • 勇気を出して人の中に入ったのに、前よりしんどくなってしまう理由
  • 自分ばかり見張る状態(自己注目)が、相手の情報を遮って不安な想像を膨らませる仕組み
  • 人と会う前・会っている最中・帰り道にできる、注意を外に戻す3つの練習
ザッキー

こんにちは、WaReKaRaゼミ代表「対人不安解消の専門家」ザッキーです

人の目が怖くて避けていた場所に、思い切って行ってみた。会話が苦手でも、途中で帰らずに最後までいた。

それなのに、前よりも苦しい。

心臓はずっとバクバクしていて、何を話したのかもよく覚えていない。家に着いた瞬間にどっと疲れが出て、次の日にはもう、人と会うのが前より怖くなっている。頑張ったのに、かえって悪化した気がする。

そんな経験はありませんか。

この記事では、対人恐怖を抱えながら勇気を出して人の中に入ったのに、なぜその場でも帰ってからもしんどくなってしまうのか、その理由をお話しします。そのうえで、人といるあいだに何をしていれば消耗せずに少しずつ変わっていけるのかもお伝えします。

人と会う回数を無理やり増やして慣らしていく話ではありません。1回1回の中身を変えていくための話です。

対人恐怖で人の中に出ても楽にならないのは、努力不足ではない

対人恐怖で人の中に出ても楽にならないのは、努力不足ではない

前回の記事では、対人恐怖を長引かせてしまう回避行動についてお話ししました。避けるのをやめて、その場にとどまってみる、という内容です。

読んだあと、実際に動いてくれた方もいると思います。それは本当にすごいことです。

ただ、その先で2つ目の壁にぶつかる方が少なくありません。人前やコミュニケーションの場に出たのに、楽にならない。それどころか出れば出るほど消耗して、「やっぱり自分には向いていないんだ」と思い、また元の過ごし方に戻ってしまうんです。

僕自身にも、まさにそういう時期がありました。

脇見恐怖症で悩んでいた頃、とにかく場数を踏むしかないと思って、怖くても飲み会に行ったり、逃げずに人前に立ったりしていました。かなり真面目に、頑張っていたと思います。

結果どうなったかというと、悪化しました。前よりも人と会うのが怖くなってしまって、「あれだけやってダメだったら、もう自分は無理なんだ」と考えたのを今でも覚えています。

でも今振り返ると、方向そのものは間違っていなかったんです。

人の中に出るところまでは合っていた。問題は、出た先で何をするかが決まっていなかったことでした。

どういうことなのか、ここから順番にお話ししていきます。

人に会うと疲れる本当の理由。自分をチェックし続ける自己注目

人に会うと疲れる本当の理由。自分をチェックし続ける自己注目

その場の数十分が、自分の採点時間になっている

会話を避けずにその場にとどまる。苦手な飲み会に顔を出す。電車でスマホに逃げない。会議で下を向かない。

ここまではできた。では、その場にいた数十分のあいだ、頭の中では何をしていたでしょうか。

うまくいかなかったと感じている方の多くは、こんなことを考え続けています。

  • 今、自分の視線はどこに向いているんだろう
  • 顔が引きつっていないかな
  • さっき声が震えていなかったかな
  • 今の返し、変じゃなかったかな

ずっと自分の状態を確かめ続けている。つまり、その場にいた数十分が、まるごと自分をチェックし続ける時間になっていたということなんです。

そう考えると、その場でしんどいのも、帰ってからどっと疲れるのも当たり前なんですよね。人といるあいだ中、自分に注意を向けっぱなしで、ずっと緊張して、いろいろなことを頭の中でぐるぐる想像し続けていたわけですから。

頑張るほど自信がなくなる逆転が起きる仕組み

しかも、ここが一番やっかいなところです。

この状態のまま場数を踏むと、「今日もうまくできなかった」「やっぱり自分は変だった」というネガティブな記憶ばかりが増えていきます。

頑張っているのに、頑張った分だけ自信がなくなっていく。頑張るほどしんどくなるという逆転が起きてしまうんです。

こんなふうに自分のことばかりに意識が向いてしまう状態を、心理学では自己注目と呼びます。注意の大部分が、自分の内側に向いている状態のことです。

だから、あなたに根性が足りないわけでも、人前にどうしても向いていないわけでもないと思うんです。足りなかったのは、人の中に出たとき、注意をどこに向けておくかという決めごとのほうでした。

自己注目で相手の情報が入らなくなる。注意には限りがある

自己注目で相手の情報が入らなくなる。注意には限りがある

注意が強く向いたところ以外は、薄くなる

ここで、注意の性質について1つ知っておいてほしいことがあります。注意には、使える量に限りがあるということです。1つのことに強く向けると、そのぶん他のことは薄くなっていきます。

ちょっと試してみてください。

この記事を読んでいるあいだも、背中や腰が椅子に触れている感覚や、足の裏が床に触れている感覚は、ずっとそこにあったはずです。でも今こうして言われるまで、ほとんど感じていなかったのではないでしょうか。言われて初めて、あ、たしかに触れているな、と気づいた方も多いと思います。

これが注意の性質です。強く向けたところは濃くなり、それ以外は薄くなっていきます。

では、注意の大部分を自分の内側に使っているとき、つまり自己注目しているときは、代わりに何が薄くなっているのでしょうか。

答えは、外からの情報です。相手の表情、相手が話している中身、周りの人が実際にどこを見ているのか。こうしたものが、ほとんど受け取れなくなってしまいます。

思い当たることはないでしょうか。人と会って帰ってきたのに、相手が何を話していたのか思い出せない。覚えているのは、自分の緊張と自分の失敗だけ。

それは記憶力の問題ではありません。そもそも情報がちゃんと入ってきていなかったんです。

入ってこない情報の空白を、悪い想像が埋めていく

外からの情報が入ってこないと、その空白を想像が埋めていきます。

「たぶん見られていたんだろうな」「たぶん変に思われていた」「あんな表情をされていた気がする。きっとそうだ」

実際には見ていないので、いくらでも想像できてしまうんですよね。しかも、不安が強いときの想像は、悪い方向に転がりやすいと考えられています。

つまり、せっかく人の中に出たのに、確かめるべきものを1つも確かめられていない状態になっているわけです。

確かめるべきものというのは、たとえば、周りの人は思っていたほど自分に注目していなかった、相手は事前に想像していたほどこちらのことを気にしていなかった、といった事実のことです。

これを確認できないまま帰ってくることが、人の中に出ても変わらない理由になっていきます。

対人恐怖は、詰まっている場所が人によって違う

対人恐怖は、詰まっている場所が人によって違う

ここまで読んで、まさに自分のことだと感じた方もいると思います。

ただ、対人不安は、特にどこで悩んでいるのか、どこで改善が止まっているのかという詰まっている場所が人によって違います。大きく分けると、次の4つです。

  • 避ける行動が中心のタイプ
  • 思い込みの強さが中心のタイプ
  • 注意の向きと体の反応が中心のタイプ
  • 生活への影響と孤立が中心のタイプ

この記事でお話ししている自己注目は、3つ目の注意の向きと体の反応にあたります。

別の場所が中心にある方は、このあと紹介する練習をやっても、手応えが出るまでに少し時間がかかるかもしれません。逆に言えば、自分がどこで詰まっているのかがわかると、最初に手をつける場所がはっきりします。

ちなみに、複数のタイプが同じくらい当てはまる方は、注意の向きから始めるのがおすすめです。一人で、道具も相手もなしに、今この瞬間からできる練習だからです。どのタイプの改善に進むにしても、注意を自分の外に戻せることが土台になります。

自分がどのタイプなのか確かめたい方は、公式LINEで「タイプ別」と送ってみてください。12個の質問に答えるとタイプが点数でわかる「タイプ別読み解きシート」が自動で届きます。タイプごとの最初の一歩と、書き込み式のワークも入っています。

自己注目を外す方法① 人と会う前に、注意を戻す先を1つ決めておく

自己注目を外す方法① 人と会う前に、注意を戻す先を1つ決めておく

では、人の中に出た先で何をすればいいのか。ここからが本題です。

やること自体はとてもシンプルです。注意を消すことはできません。でも、向け先を変えることはできます。そのための方法を3つ、順番にお伝えしていきます。

1つ目は、人と会う前に、意識を戻す先を1つだけ決めておくことです。

その場に入ってから考えようとしても、まず間に合いません。緊張が始まると、頭はあっという間に自分のチェックでいっぱいになってしまうからです。なので、出かける前に決めておきます。

戻す先の候補は、たとえばこんなものです。

  • 相手が話している内容
  • その場の音(空調の音や、遠くを走る車の音など)
  • 足の裏が床に触れている感覚

この中で僕がおすすめしているのは、足の裏の感覚です。

どこにいても、足の裏は床に触れています。電車でも、会議室でも、飲み会の座敷でも、いつでもそこにある。しかも、足の裏に意識を向けていることは、周りの人からはまず気づかれません。

最初から相手の話に集中しようとする方もいるんですが、これは案外難しいんです。たとえば急に話を振られたりすると、そこから一気に自分の内側に引き戻されてしまうことがあります。

なので、戻す先は場面によって変わらないもののほうがうまくいきやすいです。そういう意味でも、最初は体の感覚から始めるのがいいと思います。

自己注目を外す方法② 気づいたら戻すだけでいい。注意訓練法の考え方

自己注目を外す方法② 気づいたら戻すだけでいい。注意訓練法の考え方

2つ目は、人といるあいだに、注意が自分の内側に向いていると気づいたら、決めておいた場所に戻すことです。

しばらくすると、意識はまたそれていきます。それたら、また戻す。やることは本当にこれだけです。

ただ、実際にやってみるとわかるんですが、難しいのは戻すことではなく、それたことに気づくことのほうなんです。気づいてしまえば、戻すのは一瞬です。だから、気づけたらその1回でもう前に進んでいます。そのあと上手に外に居続けられたかどうかは、気にしなくて大丈夫です。

戻し方にもコツがあります。それは、力を入れないことです。

「よし、戻すぞ」と気合いを入れると、今度はその力み具合が気になり始めます。あ、足の裏に感覚があるな。それくらいの軽さで十分です。

もう1つ大事なのが、戻したあとに「ちゃんと戻せているかな」と確認しないことです。その確認自体が、また自分をチェックする作業になってしまうからです。戻したら、そのまま外にいるだけで大丈夫です。

それから、会話のあいだずっとやり続ける必要もありません。気づいたときだけで、十分に意味があります。

これを続けていると、「今日も何回も内側に引っ張られてしまった」と落ち込む方がいます。でも、それは逆なんです。

戻した回数が、そのまま練習の回数になります。10回内側に行って10回戻したら、10回練習したということです。それたことにたくさん気づけたのは、むしろ素晴らしいことなんです。

実はこれは、心理学で注意訓練法と呼ばれるものに近い考え方で、きちんとした練習方法として研究されています。つまり、注意の切り替えは生まれつきの得意・不得意ではなく、あとから育てられる力だということです。

今もし切り替えが苦手だと感じていても、それは伸びしろがあるということでもあると思います。

自己注目を外す方法③ 帰り道に、外で受け取ったことを1つだけ思い出す

自己注目を外す方法③ 帰り道に、外で受け取ったことを1つだけ思い出す

3つ目は、帰り道に、外で受け取ったことを1つだけ思い出すことです。これだけは、人と会っている場面を離れてからやります。

なぜ帰り道なのかというと、家に着いてから1日を振り返ると、浮かんでくるのは「あのとき声が震えたかな」「変な顔をしていたかな」といったことばかりになりやすいからです。

せっかくその日、少しでも意識を外に向けられて、相手の表情や話の内容が目や耳に入っていたとしても、反省会モードに入ってしまうと1つも出てきません。そのまま寝てしまうと、その日の記憶はまた自分の失敗だけになってしまいます。

だから、帰り道に1つだけ思い出してみてください。

お店でどんな曲がかかっていたか。相手がどんな話をしていたか。何色の服を着ていたか。本当に何でも構いません。

ここでも2つ目の方法と同じで、うまくやれたかどうかは考えなくていいです。良し悪しの判定ではなく、外で受け取ったことを1つ思い出す。それだけにしておいてください。

最初は、何も思い出せないと思います。それで大丈夫です。思い出せない日は、それだけ意識が内側に向いていたというだけのこと。何日か続けていると、ふっと1つ出てくる日がやってきます。

この3つができるようになってくると、その場での過ごし方が変わっていきます。これまで数十分ずっと自分をチェックしていた時間が、相手の話や周りの様子が見えている時間に変わっていく。そうなって初めて、「あれ、相手は意外とこっちを見ていなかったんだな」と気づけるようになります。これは、注意を外に向けられた人にしか手に入らない情報なんです。

人と会う回数を無理に増やさなくても大丈夫です。明日乗る電車や、来週入っている飲み会など、もともと予定に入っている1回からでも十分に練習になります。

この3つの練習を、もう少し体系立てて進めたい方へ。対人不安の改善に必要な考え方を順番にまとめた3日間の無料動画講座を、公式LINEでお渡ししています。登録するとすぐに届くので、帰りの電車の中でも見てみてください。

対人不安があるのに相手の話に注意を向けたら、もっとしんどくならない?

この話をすると、よくこんな質問をいただきます。

「相手の話に注意を向けたら、かえって会話がしんどくなりませんか?」

ただでさえ頭がいっぱいなのに、そこに「ちゃんと聞かなきゃ」が1つ増えるわけですから、そう感じるのも無理はないと思います。

でも実際は、逆であることが多いんです。自分の内側に注意が向いているときのほうが、会話はずっとしんどいんです。

相手の話がちゃんと入ってこないので、何を返せばいいのかわからなくなる。すると会話が止まります。そして止まっている数秒が全部自分のせいに感じられて、頭がさらに自分の方に向いてしまう。こうして、会話のしんどさが雪だるま式に大きくなっていきます。

反対に、相手の話の中身に注意が戻ると、返す言葉は意外と自然に出てくるものです。「それってどういうこと?」「へえ、そんなことがあったんですね」といった一言が、考えなくても浮かんでくる。むしろそのほうが楽になることが多いんです。

最初から相手の話に集中する必要はありません。まずは足の裏など、変わらない場所に戻せるようになる。それができてくると、相手の話にも自然と注意が向くようになっていきます。

ゼミで見てきた、対人恐怖が良くなっていくときの順番

ゼミで見てきた、対人恐怖が良くなっていくときの順番

とはいえ、最初からうまくできる方はほとんどいません。

ゼミでこの練習をやってもらうと、最初はだいたい同じような声が返ってきます。「戻す先を決めておいたのに、その場では一度も思い出せませんでした」。あるいは「思い出したけど、3秒で元に戻りました」。ほとんどの方が、ここからスタートします。

そして、変化として最初に出てくるのは、うまくできたことではなく、気づくのが早くなったことなんです。

以前は電車を降りるまでずっと視線のことを考えていた。それが、途中で「あ、また自分に意識が向いてるな」と気づけるようになる。気づけたら、そこで戻せます。この順番で変わっていく方が多いです。

そこからさらに続けていくと、こんな日が出てきます。電車を降りたあとに、「あれ、今日は視線のことをあんまり考えてなかったな」と思う日。人と会って帰ってきたのに、いつもの反省会が始まらない日。

最初は、そういう日がたまにあるだけです。でも、それが少しずつ増えていきます。

よく、ゴールは人の中にいても何も感じない状態だと思っている方が多いんです。でもゼミで実際に変わっていった方を見ていると、ある日を境に急に平気になる、という変わり方はほとんどありません。不安がゼロになるのではなく、不安について考えていない時間のほうが長くなっていくんです。

そのくらいまで来ると、僕に相談してくれる内容も変わってきます。

以前は、人にどう見られているかという悩みばかりだった方が、「あの人ともっと話せるようになりたい」「飲み会で自分から話しかけるにはどうしたらいいか」といった話をするようになるんです。

悩みがなくなったわけではありません。考える対象が、自分がどう見えているかから、人とどう関わるかに移っていったということです。そして、そういうことを考えているときは、以前ほど苦しくはならないんです。

不安は、人の中に入るたびに出てくるかもしれません。人の中は、相変わらず苦手なままかもしれません。それでも、その日の終わりに残っているものは変わっていきます。今日も失敗した、ではなく、相手はそんなにこっちを見ていなかったな、という日が増えていく。そこから少しずつ変わっていきます。

まとめ

今回は、対人恐怖を抱えながら人の中に出ても楽にならない理由と、その場での過ごし方を変える3つの練習についてお話ししてきました。

大事なところを振り返ります。

  • 人の中に出ても楽にならなかったのは、その数十分をずっと自分のチェックに使っていた(自己注目していた)から
  • 自分を見ているあいだは相手が実際にどうだったのかがわからず、頭の中の悪い想像だけが残ってしまう
  • やることは、出る前に戻す先を決めておく、気づいたらそこに戻す、帰り道に外で受け取ったことを1つ思い出す、の3つ

今日から目指すのは、人の中が完全に平気になることではありません。不安が出たままでいいので、足の裏の感覚など、事前に決めておいた場所に注意を戻してみること。まずはそれだけで十分です。

僕自身、場数だけを踏んで悪化させてしまった時期がありました。だからこそ、頑張っているのに苦しくなっている方には、頑張る量ではなく、頑張る中身を少しだけ変えてみてほしいと思っています。

もう少し体系的に対人恐怖の改善について学びたい方に向けて、僕自身が脇見恐怖症で10年間悩んだ経験と、WaReKaRaゼミの100名以上のメンバーをサポートしてきた中で見えてきたことをまとめた3日間の無料動画講座を、公式LINEでお渡ししています。

今回お話しした注意の向け方が、改善全体の流れの中でどこに位置づくのか。ほかに何を組み合わせていけばいいのか。そのヒントも見つかるはずです。

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